マッサージ代・整体費用は経費になるか
マッサージ代や整体費用は、基本的には経費になりません。
それが治療のためなら、原則として医療費控除の対象になります。
そもそも経費とは…からみていきましょう。
そもそも経費とは
マッサージ代や整体費用のまえに、そもそも経費とはどんなものをいうのか…?
経費について、わたしの知る限り、法律などに明確で具体的な基準はありません。
というのも、なにが経費になるかは、働きかたによっても変わるからです。
ある人にとって経費になるものが、ほかの人には経費にならない…ということは、よくあります。
たとえば、食材。
飲食店にとって、食材は必須のものです。
それがなければ、仕事として成り立たないわけですし。
いっぽう、飲食店をしていなければ、基本的には自分が食べることになります。
食べることは、仕事していても、していなくても必要です。
そのようなものは、プライベートのものとして、経費にならないのです。
(贈答品や打ち合わせ・接待などのときは除きます)
つまり、経費とは、つぎの2つを同時に満たすものをいうのです。
- それがなければ、仕事ができない・仕事にならない
- 仕事をしなければ、それは必要ない
もし、上の条件だけでよいのなら、途端に経費になるものは増えるはずです。
たとえば、人として最低限の生活ができなければ、仕事ができない…といえます。
すると、衣食住はおろか、多少の趣味もふくめて経費に…ということになってしまいます。
これを制御するのが、下の条件です。
もし曖昧に感じるなら、次のように自問してみましょう。
- まったくの赤の他人がそれを使ったとしたときに、経費として認めるか…?
これをクリアーするなら、ほとんど間違わないはずです。
経費には、どうしても「多くしたい…」という誘惑があります。
そうすれば、税金がすくなくなるので。
ただ、ほんらい事業は、ちゃんと利益をかせぎ、お金を確保していくのも目的です。
自分が、ある会社の株主だ…とイメージしてみましょう。
より多くの配当金を手にするには…と。
おそらく、ムダな経費はけずり、より多くの利益をだしてほしいと思うのではないでしょうか。
そうすれば、配当金だって多くなるので。
税金をかんがえれば、経費は多いほうがよい。
利益をかんがえれば、経費は少ないほうが…
経費も100発100中とはいかないので、むずかしいものですけどね。
そもそも経費とは…はこれくらいにして、マッサージ代・整体費用について確認しましょう。
経費になるケース
仕事をして疲れたから、マッサージ代・整体費用が必要だ…と感じることがあります。
でも、マッサージ代や整体費用は、基本的には経費になりません。
もし、疲れなどが原因で仕事に支障がでるようなら、原則として「医療費控除」の対象になります。
ただ、医療費控除は、治療のためのもの。
予防や健康維持のときは、対象にならないのです。
治療であることが分かるように、整形外科医の診断書や、あん摩マッサージ指圧師・柔道整復師といった国家資格のあるかたの一言が添えてあるのが望ましいです。
もし、医療費控除ではなく、経費になるなら、つぎのようなケースに限定されます。
- マッサージや整体が本業
- 取材
- 福利厚生
- その他
マッサージや整体が本業
そもそもマッサージや整体を本業としているなら、ほかの同業のかたも気になります。
自分を実験台にして、ほかの同業者がどんなことをやっているのか、知りたくなるものです。
そんなときは、研究あるいは調査という名目で、経費になります。
ただ、自分とは何がちがったか、どんなことがヒントになったか、あるいは何も収穫なし…ということを記録に残したり、パンフレットなどがあれば取っておくのがよいです。
プライベートのものじゃない…と言えるために。
取材
文や動画などによる収入があるときは、マッサージや整体がネタになることもあるでしょう。
そんなときは取材という名目で、経費になります。
自分がマッサージや整体を受けてみなければ、文の書きようがない・動画でスポットをあてるところがピンとこない…ということもあるでしょうから。
福利厚生
従業員の環境や待遇をよくしたい…という目的なら、福利厚生費にできることがあります。
ただし、福利厚生は、全従業員に一律でおこなうもの。
くわえて、あまり豪華なものではなく、世間で普通…とされる金額である必要もあります。
もし、特定のだれかだけとなると、全従業員に一律で…とはいえないので、そのかたに対する給与としてあつかうことになります。
すると、給与とおなじく源泉所得税を天引きしましょう…となってしまいます。
さらに、給与には消費税がかからないから、消費税の計算もやり直し…と。
また、従業員がいない・いたとしても家族だけ…というときは、福利厚生は認められない可能性がたかいです。
福利厚生は、従業員のためのもの。
その従業員とは、他人のこと。
家族は、いわば自分とおなじですので。
その他
たとえば、取引先と一緒にマッサージや整体をうけたときは、交際費となる余地があります。
状況によっては、接待ともいえるので。
また、プロのスポーツ選手なら、よりよい成績をのこすために利用することもあるでしょう。
体が資本であることは明らかなので、ちゃんと経費になります。
まとめ
マッサージ代や整体費用が経費になるか…についてみてきました。
これらは、基本的には経費にならず、治療のためであるなら医療費控除の対象になります。
プライベートと捉えられかねないものは、証拠を残しておくことを意識しましょう。
※ 記事作成時点の情報・法令に基づいています。