土地は売るまで経費にならないわけ
土地は、つかっても価値がへらないので、減価償却をしません。
全額が、売るときに経費になるのです。
金額がおおきいので、取得価額がいくらになるかも注意しておきましょう。
土地は売るまで経費にならないわけ
事業のために土地を購入すれば、けっこうなお金がでていきます。
でも、土地は、売るまで経費になりません。
事業において長くつかうものには、減価償却という仕組みがあります。
たとえば、建物。
購入代金を、つかう期間で分割して経費にしていく仕組みです。
この減価償却は、「価値がへるから」できるものです。
たとえば、車の下取り価格。
通常、この価格は、乗れば乗るほど、ひくくなっていきます。
つかったから、価値が下がるわけです。
もちろん、本体も傷んでいきますし。
減価償却費というのは、つかって価値が下がったことをあらわすものです。
(経費は、すべて「つかったこと」をあらわします。「持っているだけ」では経費にならないのです)
いっぽう土地は、つかっても価値は下がりません。
もちろん、値段がかわることはあります。
でも、それはつかったからではなく、需要と供給のバランスや、景気の変動によるものだったりします。
なので、土地は減価償却をしないのです。
また、土地はつかったからといって、無くなるものでもありません。
長い間、ほとんど形をかえず、そのままです。
つまり、「消費」できないわけです。
消費とは、つかって無くなることですから。
そのため、消費税もかかりません。
土地は、つかっている間は経費になりませんが、売るときには(実質的に)経費になります。
税金は、売り値そのものにかかるのではなく、売り値と買い値の差額にかかります。
土地が値上がりした部分だけに、税金がかかるのです。
もし値下がりしていれば、税金がすくなくなる原因となります。
なので、土地を売るときには、買い値がいくらだったかが重要になります、
というのも、買い値には本体だけではなく、その他のものもふくまれるので。
土地の買い値(=取得価額)
土地を購入するときは、関連してさまざまな支払いもおこります。
その中には、土地の取得価額にふくまれるもの・ふくめなくてもよいものもあります。
取得価額にふくめるもの
土地の取得価額には、本体部分にくわえ、つぎのものもふくまれます。
- 仲介手数料
- 固定資産等精算金
仲介手数料は、土地の取得価額にふくまれます。
もし、土地と建物をセットで購入するときは、わける必要があります。
契約書に消費税がのっているなら、建物価格を逆算できます。(市場価格とかけ離れているときは検討が必要ですが)
あるいは、固定資産税の評価額。
こうしたものの、本体部分の比率により、わけることができます。
土地部分をわけた後、取得価額にくわえます。
それから、固定資産税等精算金。
これは、売り主がはらう固定資産税のいちぶを、買い主も負担してね…という趣旨のものです。
というのも、固定資産税は1年度ごとにかかりますが、その年度のなかには、売り主が所有していない期間もふくまれるので。
おたがいが所有する期間におうじてわけましょう…というものなのです。
ただ、この精算金は、税金ではありません。
名目から「税金…?」を連想させますが、役所にはらうわけではなく、売り値のいちぶなのです。
なので、土地の取得価額にくわえます。
建物があるときは、仲介手数料とおなじようにわけた後で。
取得価額にふくめなくてよいもの
次のものは、取得価額にふくめず、経費にすることができます。
- 不動産取得税
- 登録免許税、そのほか登記・登録にかかる費用
これらは、土地の購入のために必要なものというより、購入したあとで強制的にかかるものです。
じつは取得価額は、本体と「本体の購入のために要した費用」から構成されます。
不動産取得税などは、購入のためではなく、購入した後のためのものなので、経費にすることができるのです。
まとめ
土地が売るまで経費にならないわけや、取得価額についてみてきました。
税金では、とにかく書類・数字をうらづける根拠が大事です。
残念なことに、「たしか○○だった…」とか「これくらい…」は、通用しないのです。
ただ、土地は、おおくのかたが長い間もっているものです。
「書類どこだったかな…」となるのも、当然といえます。
くわえて、土地をめぐっては、ふだんは目にしない特殊なことも起こり得ます。
- 建物とセットで購入したものの、建物は取り壊すことにした
- 購入にあたって揉めたので、立退料などもはらった
- 地ならしをした
- 測量をした
- 借入れをして利息をはらっている
- 直前にほかの契約を解除して購入したので違約金をはらった
- 親から相続した
こうしたことも、それぞれの事情により、あつかいが変わってきます。
そのときに、根拠になる資料が必要になってくるのです。
土地はそもそも金額がおおきいので、税金への影響もおおきくなります。
「売るときには書類が大事」ということに気をつけて、保存しておきましょう。
※ 記事作成時点の情報・法令に基づいています。
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