「毛布は掛け布団の上か下か」的なことは経理にもある
毛布と掛け布団の順序により、寝やすさが変わります。
経理も、あることの順序により、見方や考えかたなどが変わる可能性があります。
毛布はかけ布団の上か下か
今まで、毛布はかけ布団の「下」にして、寝ていました。
でも、風邪をひいたりしていると、暑くて寝苦しいこともある。
朝おきると、毛布だけはがしていたりも。
(天然素材のよい毛布だと、そんなことないみたいですが…)
ふと気になって調べてみたら、毛布をかけ布団の「上」にするのもアリらしい。
なので試してみたら、けっこう快適でした。
寝苦しくなることもなく。
こういうことって、毛布にかぎらず、ほかのことでもあるはずです。
とりあえず始めてみて、問題を感じなかったから、ずっとそのままでやっている…ということが。
でも、順序を変えてみたら、なにかが変わる。
経理にも、そんなことがあります。
経理における○○と△△
つぎの組み合わせの、順序をかんがえてみましょう。
- 売上と経費
- 売上と利益
- 利益とお金
- 税金とお金
売上と経費
黒字なのか赤字なのかは、だれでも気になるものです。
その黒字・赤字、つまり利益は、売上から経費をひいて計算します。
なんとなくの意識として、さきに売上があって、そこから経費をひくわけです。
損益計算書の並び順も、「売上 → 経費」の順ですし。
でも、現実では逆です。
さきに経費があり、あとから売上がやってくる。
経費のつかいかたや、営業のやりかたなどにより、売上は変わってくるわけです。
損益計算書では、売上は、通常いちばんおおきな数字になり、かつ、いちばん上に載っています。
目立つうえに、最初に目にとびこんでくるもの。
なので、まず気になるのは売上…というのが自然です。
でも、さきに経費に目をやると、「これくらいは売上がないとマズくない…?」という意識が生まれるかもしれません。
売上を変えよう…という意識ですね。
売上は、お客さまが決めるもの。
なので、売上は変えにくい・自分の思うとおりになりにくいものです。
いっぽうの経費は、自分が決めるもの。
なので、なにかあれば経費をさきに変えようとするのが自然といえます。
売上とは、お客さま。
経費とは、自分。
相手を変えたいなら、まずは自分から…なんて言います。
先に経費をみるようにすると、事業のみえかたも変わるかもしれません。
売上と利益
売上は、目標や事業の目安になりやすいものです。
数字も大きくなるし。
- 年商○○円…!
こんなフレーズを、よく見ないでしょうか。
でも、どんなに売上があっても、それ以上の経費がかかれば赤字です。
お金も、赤字額におうじて、へってしまいます。
目指すべきは、売上ではなく、利益なのです。
もちろん売上も大事ですが、利益をかせぐための手段にとどまります。
ただ、売上があれば、とりあえずのお金は、はいってきます。
このことが、ときに目を曇らせてしまうのです。
そんなときは、もう少し先をみるようにしましょう。
たとえば、「つぎの決算はどうなるか…」という風に。
すると、売上を、利益をかせぐための手段としてみられるようになるはずです。
お金にとびつかず、自分の仕事のありようを見つめられるとおもうのです。
利益とお金
利益がでれば、そのぶんお金もふえます。
ただ、1年単位でみていくと、ほぼかならずズレがでます。
(長い目でみれば一致するのですが…)
というのも、お金の出入りにもとづいて、売上や経費を計上するのではないからです。
売上や経費は、モノやサービスのながれにもとづき計上します。
こうした会計のルールが、利益とお金のズレを引き起こすのです。
すると、つぎのような逆説的なことも起こります。
- 黒字なのに、お金がへる
- 赤字なのに、お金がふえる
利益だけをみていると、お金が足りなくなるかもしれない。
いっぽう、お金だけをみていると、赤字に気づかないかもしれない。
ときに、順序ではなく、両方が必要なこともあるのです。
税金とお金
税金は、少ないほうがよいものです。
いっぽうのお金は、やっぱりたくさん欲しいですよね。
ただ、税金というのは、利益の○○%と計算されます。
税金をはらったのこりが、手取りとして、そのぶんお金がふえることになるのです。
もちろん、節税として、いろんな方法があります。
状況におうじて、弊害がないかぎり、できる節税をやらないのは、あってはならないことです。
そこに税理士の存在意義もありますし。
でも、利益が、税金と手取りのお金にわかれる。
この道理は、どうしても残ります。
- 税金がすくなければ、お金はふえにくい
- 税金がおおければ、お金はふえやすい
こういうことに、なるのです。
- 税金をすくなくしたい
- お金をふやしたい
この2つは、基本的には両立しないものと思いましょう。
そのうえで、税金とお金の順序をかんがえてみましょう。
まとめ
経理における順序により、ものごとの見方や考えかたが変わる可能性があります。
最初に目にしたものは、受け入れやすいもの。
そして、それを変えるのは、ときに難しかったりします。
変わったあとだと「なんでもっと早く…」と思ったりするんですけどね。。。
※ 記事作成時点の情報・法令に基づいています。
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