決算書は正しいのか。本当の利益を探るカギ
会社の決算書は、税金の都合で作られたものかもしれません。
いくら儲かったのか、つまり正しい利益を知るのは、あんがい難しいものなのです。
決算書は正しいのか
決算書は正しくない…と言われることがあります。
その理由には、おもに次のようなことが。
- 税金のルール
- 同族会社が多い
- 赤字会社が多い
税金のルール
決算書をつくるルールと税金のルールは、じつは別物です。
決算書は、基本的には株主のためのもの。
かれらが投資をした結果ですからね。
もちろん報告しなければなりません。
そして税金は、ある行動をした結果が、だれにとっても同じようでなければならない。
これを課税の公平ということもありますが、個別の事情は考慮しにくいものなのです。
たとえば減価償却の耐用年数。
これは、本来それぞれの会社が独自に決めるべきもの。
あるモノの使いかたや入れ替え時期などは、それぞれ違うはずですからね。
でも税金は、法律で決められた耐用年数でおこなう。
この差を埋めるために法人には税効果会計があるのですが、使っているかたは極めて少数派。
おおくは税法の耐用年数で決算書をつくっている。
…という細かいことだけでも、決算書は正しい…というには疑問があるのです。
ほかにも、連絡がとれなくなった取引先への売掛金をどうするか。
在庫は、金額にするといくらなのか。
つかっていない固定資産はどんな金額であらわすか。
こういったことでも、決算書をつくるルールと税金のルールには、乖離があったりします。
つまり、税金のルールでつくられた決算書は正しいといえるのか…ということなのです。
同族会社が多い
日本にある会社のうち、90%くらいは同族会社です。
同族会社とは、3人以下で会社の意思決定をできるような会社のこと。
つまり一人社長や家族経営のほとんどは、同族会社になるのです。
同族会社のメリットは、役員報酬をつかった節税がしやすいということ。
じぶん達の役員報酬を、じぶん達で決められますから。
そこで家族間の所得分散がやりやすかったり、給与所得控除の恩恵をよりおおく受けられる。
これは役員報酬が高すぎなければ合法ですし、べつに悪いことでもない。
もしわたしが会社をつくるなら、おそらくそうするでしょうし。。。
ただ、節税のメリットをうける反面、役員報酬の金額には疑問がのこります。
経営ではなく、税金の都合による数字ですから。
とうぜん、決算書だって正しいかどうかには、おなじく疑問が。
赤字会社が多い
令和5年度では、全法人のうち、60%くらいは赤字決算でした。
赤字でも会社がつづけられる原因には、同族会社が多いことがあげられます。
赤字であれば、会社のお金は足りなくなる。
でも役員などが個人のお金をだせば、会社はなんとかなる。
その背景には、役員が節約などをしていること、比較的たかめの役員報酬をとっていることなどがあるでしょう。
会社・個人をあわせたとき黒字になるなら、赤字でも会社はまわるわけです。
このお金の融通は、同族会社ならでは…です。
同族会社が悪いと言っているわけではないんですよ。
ただ、ここまでのことを見てきたとき、決算書は正しいといえるのか…と。
きっと、どんな経営者もつぎのことを知りたいはずです。
「どれくらい儲かったのか」
そのための手がかりを考えてみましょう。
本当の利益を探るカギ
決算書をみるときには、つぎのこともチェックしてみましょう。
- 役員との貸し借り
- 利益剰余金
- 個人口座の増減
役員との貸し借り
会社が、役員からお金を借りる。
その逆に、役員が会社からお金を借りる。
この2つは、同族会社においてはよくあることです。
むしろ、ゼロにすることは難しいもの。
たとえば経費の立て替え。
そのあるべき姿は、経費を払う前に、会社の口座からピッタリのお金を引き出しておく…です。
でも、これをいちいちするのは面倒ですよね。
だから、あるていどまとまってから精算するのも、よく行われていること。
ただ、それが赤字のときはどうなるか。
立て替えてから精算するまで、長い時間がかかることあります。
そして、そのあいだ増え続けていく。
その長い時間を耐えられるのは、役員報酬が原因かもしれません。
もし貸し借りがゼロなら…とかんがえてみましょう。
そこから逆算すると、ある意味ただしい役員報酬が割り出せます。
おなじく利益も。
また、役員が立て替えるお金がおおくなるとき。
その原資についてもかんがえてみましょう。
それは、所得税や社会保険料をはらって手に入れたものかもしれません。
会社と役員の税金をあわせてみたとき、もしかしたら節税に失敗しているかもしれないですから。
利益剰余金
利益剰余金とは、過去からの利益の累積です。
内部留保という言いかたもありますよ。
さて、この利益剰余金がいくらになっているか。
会社というのは株主がいる都合で、どうしても黒字にならなければなりません。
株主の目的でもある配当金は、利益剰余金が原資になるからです。
ただ現実では、配当をしないことも多いです。
配当は、経費にならないので。
でも、正しい決算書をかんがえたとき、事業のあるべき姿はどうでしょうか。
なるべく黒字にし、配当金をだす。
そうでなければ、資金を引き上げられてしまうのが道理ですから。
株式投資をするとき、配当がないものを持ち続けるでしょうか。
全部が全部ではないかもしれないですけれどね。
こんな風な見方から、先にあるべき利益剰余金を決めてしまう。
そこから役員報酬などをいじることで、「おそらくこんな感じだろう」と正しい利益を推測する。
ということもできます。
個人口座の増減
役員報酬として自分の口座にはいったお金は、もちろん自分のものです。
ただ、ここまで書いてきたように、その役員報酬は節税などの都合によることも多いです。
いわば仮の数字といえます。
そこで、個人の口座の「増減」をしらべてみましょう。
ただ生活費などで減っている分がありますよね。
だから、いったんは役員報酬でどれくらい増えたか…は計算する必要があります。
増えた分だけの合計ですね。
それと、会社の利益をくらべてみる。
それが、会社・個人をあわせたトータルの利益です。
ここまできたら、あらためて役員報酬をかんがえてみましょう。
税法では、定期同額給与という縛りがありますが、それも無視して。
たとえば役員報酬をひくまえの営業利益などの○○%…とか。
スタッフがいれば労働分配率も参考になったり。
あわせて、会社の口座にあるべき金額を想像しつつ、生活費のつかいかたも。
同族会社では、会社を支えるのは役員しか、実質的にはいないわけですから。
まとめ
その決算書は、税金の都合で作られたものかもしれません。
となると経営に数字を活用しようと思っても、たいした役に立たない場面もあったりします。
自分の事情を踏まえていないわけですから。
ただ現実では、おおくの同族会社は税金を軸にものごとを考えてしまう。
それも悪いことではないんですよね。
やっぱり、税金は少ないほうが良いですから。
いっぽう、会社の業績をはかるものは数字です。
そのほかにも、気持ちや環境など数字ではあらわせないものも影響するとはおもいます。
ただ主軸には、かならず数字も入ってくるんじゃないか…と。
その数字が、税金に負けているような印象を持ってしまうんですよね。
現実をみてみれば難しいことですが、税金に行動を左右されていないか…考えてみましょう。
もし左右されているなら、わたしは、それをちょっと悔しく感じてしまうんです。
なにか、ものごとや自分が真っすぐではないような。
※ 記事作成時点の情報・法令に基づいています。


