赤字になると分かったらどうするか

赤字のとき、まず用心すべきは自分だったりします。

それを知ったうえで、改善策を考えるまえに必要なことを確認しておきましょう。

 

赤字のときの心理

事業をしていれば、ときには不可抗力などで、赤字になってしまうこともあります。

お金が足りなくならないように配慮して、いずれは黒字にして巻き返せばよいのですが。

赤字になっているときは、とくに心理面において、すこし注意が必要かもしれません。

 

たとえば、つぎの選択肢があるとき、どちらを選ぶでしょうか。

  • 100%の確率で、1万円もらえる
  • 50%の確率で、2万円もらえる

わたしだったら、なんとなく確実な1万円を選びそうなんですよね。

 

ただ、話がややこしくなるのは、これから。

つぎの選択肢があるなら、どちらを選びますか…?

  • 100%の確率で、1万円はらう
  • 50%の確率で、2万円はらう

うえとは逆に、不確実な2万円のほうを選んだりしないでしょうか。

もしかしたら、はらわなくて済むかも…と。

 

得するときと、損するとき。

それぞれ真逆の選択をしてしまうような。

 

すこし整理しますと、要点はつぎのとおり。

  • 得するときは、リスクを回避しがち
  • 損するときは、損しない可能性に賭けるとはいえ、さらに損するリスクをとってしまうかも

 

金融投資をしているかたなら、損切りがむずかしいこともご存じかもしれませんね。

もしかしたら、明日には時価が戻っているかもしれないですし。

それに、自分の判断が間違っていたと認めるのも、悔しい気がしますしね。

 

事業が赤字になっているときも、状況は似ています。

損切りのように赤字を確定させましょう…というわけではないんですよ。

赤字になっているときの判断は、黒字のときとは違うかもしれない。

それに用心しましょう…ということなのです。

 

それを踏まえて、赤字になると分かったらどうするかを考えてみましょう。

 

赤字になると分かったらどうするか

とりあえずは次のことを調べ、それから対策を検討しましょう。

  • お金はいつまでもつか
  • 損益分岐点はいくらだったか
  • 行動を変えられないか

 

お金はいつまでもつか

まず大事なのは、お金が足りなくならないことです。

支払いが滞ると、信用をなくし、つぎの機会が無くなるかもしれないですから。

だから、今のままいくとお金はどうなりそうか。

これを、資金繰り表をつくって確認しましょう。

 

このとき、ネット検索で見つかるものは月単位になっているものが多い印象です。

でもきっと、月単位でみても、残高の推移には波があるはず。

五十日(5日、10日、15日、20日、25日、月末)が、支払い期限になっていることも多いです。

それとは別に、借入金の返済日、給料日などもあるでしょう。

こうした時期のバラツキにより、口座残高がすくなくなりがちな日が、月に2つ3つあるなら。

そのタイミングにあわせて1か月を2つ3つに区切ってみると、分かりやすいですよ。

まず大事なのは、「いくら足りなくなりそうか」の具体的な数字ですから。

 

その具体的な数字は、会計からも目途をつけることはできます。

 

損益分岐点はいくらだったか

見込まれる赤字のぶん、お金も減ります。

もともと持っていたお金から減る金額をみれば、足りなくなりそうな金額も目途はつきます。

お金と利益にはズレがあるので、ざっくりですけれどね。

(これを深掘りするために、うえに書いた資金繰り表があります)

 

ただ、その赤字は、いつか挽回しなければなりません。

その挽回するときに目安になるのが、損益分岐点です。

損益分岐点とは、利益がちょうどゼロになる売上や粗利のことをいいます。

売上と経費がおなじ金額になっている状態…とおもってください。

 

この計算は、経費にはつぎの2つのものがあることに着目しておこなうもの。

  • 売上におうじて増減する経費……変動費
  • 売上がゼロでも発生する経費……固定費

 

きっと固定費は、過去の会計データをしらべれば集計できるはずです。

いっぽう売上におうじて増減する経費は、なんとなくでも「売上の○○%くらい」と計算できそうでしょうか。

もし計算できるなら、その「%」をつかい、「固定費をカバーするには売上がいくら必要か」がわかるはず。

たとえば、売上が「100」のとき、変動費が「40」なら、粗利率は「60%」。

固定費を「0.6」で割ると、必要な売上がでてきます。

 

いっぽう、売上におうじて増減するかどうかに法則性がみつからないとき。

そんなときは、固定費とおなじだけの粗利が必要…とかんがえましょう。

足りない粗利はいくらだったか。

その粗利を稼ぐために、どれくらいの仕事が必要だったか。

 

このように計算をしてみることで、来年度はいくらの売上や粗利が必要かが分かります。

もちろん、赤字になった反省につかっても良いんですけれどね。

この反省をするときに、損益分岐点の売上をむずかしく感じるなら、固定費についても考えてみましょう。

 

行動を変えられないか

もし固定費を減らすことができるなら、利益は出しやすくなります。

それまで「100」必要だった売上や粗利が、たとえば「90」になるようなものですから。

売上などにかけるべき手間や時間がへるから、利益が出しやすくなるのです。

 

ただ固定費というのは、事業の基盤を維持していくためのものであることが多いです。

たとえば家賃やリース料のように。

それを安易に削れば、事業に支障をきたすこともある。

でも、それは「今までと同じことをしているなら」という前提ではないでしょうか。

固定費を減らそうとするときは、「行動を変えられないか」という視点をもってみましょう。

 

それまで、モノを購入していたなら、なにかで代用できないか。

それがサービスなら、自分が手間や時間をかけることで、代用できないか。

ある行動は、止めても問題なかったりしないか。

固定費を減らしたあとは、当然ながら行動が変わる。

そんな前提で、固定費のことをかんがえてみましょう。

 

ここまでのことを考えてから、お金の手当てや具体的な改善策を検討してみましょう。

ここまで書いてきたことは、その改善策の根拠になるはずですから。

 

まとめ

赤字になると分かったら、もしかしたら、自分の状態は黒字のときとは違うかもしれません。

得するときと損するときで、判断が変わることのように。

それをすこし振り返ってから、資金繰り表などをつかい、現状を把握しましょう。

 

事業では気持ちも大事ですが、その気持ちに用心すべき時もあるかもしれません。

その用心すべき時に、数字が役に立ってくれることもあります。

数字は、気持ちには左右されないので。

そんな数字の助けもかりて、挽回していきましょう。

 

 

※ 記事作成時点の情報・法令に基づいています。