申告期限の延長(法人税等)
年度が終わったら、決算日から2ヶ月以内に法人税・住民税・事業税、そして消費税の申告・納付をすることになっています。
年度が変わる時期には、税金以外にもいろいろあって忙しいですよね。
そんなタイミングで社長が体調を崩したり、経理の方が退職してしまうこともあるかもしれません。
それでも、申告期限を過ぎてしまうと、無申告加算税など本来払わなくてもよいものまで払わなくてはいけないことになってしまいます。
このように、税金の申告が2ヶ月では間に合わない!という時に、申告期限を1ヶ月延長できる「申告期限の延長の特例」という制度があります。
どんな時に使えるのか?
定款に株主総会が行われるのが決算日から3ヶ月以内と定められていること。
これが条件となります。
(他にもいくつか条件がありますので、ご興味のある方は国税庁HPをご参照ください)
法人税の確定申告は、確定した決算に基づいて作成されますが、決算は株主総会の承認によって確定します。
ですから、株主総会が行われるのが決算日から2ヶ月以内でない場合には、そもそも申告期限に間に合わない…
こんな時には、申告期限の1ヶ月の延長が認められます。
なお、定款に2ヶ月以内となっているときでも、3ヶ月以内と変更すれば、申請ができます。
必要な手続は?
最初に適用を受けようとする年度が終わるまでに、「申告期限の延長の特例の申請書」を税務署に提出します。
申請書はこちらからダウンロードできます。(国税庁HPへ)
例えば、H30年3月期から延長を受ける場合には、H30年3月31日までに提出する必要があります。
また、延長を受ける理由については、定款に株主総会が行われるのが決算日から3ヶ月以内であるため申告期限までに決算が確定しない、などと書いておけばよいでしょう。
なお、上記の手続きで延長できるのは法人税のみですので、住民税・事業税については、別途、都道府県・市町村への申請が必要です。
東京都の場合、「申告書の提出期限の延長の処分の届出書・承認等の申請書」はこちらからダウンロードできます。(東京都主税局HPへ)
住民税については、届出書の提出期限が決算日から22日以内と若干ゆるくなっていますが、法人税とあわせて提出しておく方が便利です。
なお、控えを取っておくのも忘れずにお願いします。
納期限は延長されない
実は、申告期限が1ヶ月延長されても、納期限は延長されないんです。
じゃあ意味がない!と思われるかもしれませんね。
ただ、本来の納期限までに見込みで納めておき、後日差額を精算するという方法もあります。
少なめの見込額を納め、後日追加で差額を納める場合には、利子税がかかる可能性もありますが、
多めに納めておけば、利子税の心配もありません。
少し不便な感じがありますが、見込みでも納めておくのを忘れずに。
消費税の申告期限は延長されない
最後になってしまいましたが、これは大事なポイントです。
申告期限を延長できるのは、法人税・住民税・事業税であって、消費税は延長されません。
消費税のみ早めに計算するというよりは、毎月の月次決算を習慣にするのも大事かもしれませんね。
(注)この記事は、作成時点での法令等に基づいております。実際の適用にあたっては、事前に関係省庁・専門家等への確認をお願いいたします。