消費税を納めるのは誰か(納税義務者)
国内の消費には、消費税が課税されます。
事業をしていると、仕入れや経費で消費税を払うだけでなく、売り上げた際には消費税を受け取ることもあります。
この受け取った消費税を税務署へ納めることになるのですが、
今回は、どんな方が消費税を納めなくてはならないのか(納税義務者)を見ていきましょう。
すべての事業者が納める訳ではない
消費税は国内の消費に課税されますので、国内で消費税が課税される取引を行っている事業者や、
国内で消費するために輸入取引をする方はすべて納税義務者となるのが基本です。
ただし、個人事業主や中小企業の事務負担を軽くするために、
その課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下の方は、消費税を納めなくてよいことになっています。
<課税期間とは>
納める消費税を計算する区切りの期間のことです。個人事業主の方は1月~12月の1年間となり、法人の方は事業年度となります。
<基準期間とは>
個人事業主の方は前々年です。
法人の方は前々事業年度となりますが、事業年度が1年未満の場合などには別途確認が必要です。
<課税売上高とは>
消費税が課税される売上高です。配当金などの不課税取引や、土地の売却などの非課税取引は含まれませんが、輸出など免税取引は含まれます。
なお、
また、創業1年目や決算期を変更したときなどで基準期間が1年でない場合には、1年分に換算します。
つまり、2年前の課税売上高が1,000万円以下であれば消費税を納める必要はないということになるのですが、
実はもう一つ確認しなければならない事があります。
2年前だけでなく、1年前も確認する必要がある
消費税を納めなくても済むためには、
基準期間における課税売上高が1,000万円以下であることに加え、
特定期間における課税売上高(又は給与等支払額)が1,000万円以下である必要があります。
<特定期間とは>
個人事業主の方は前年の1月1日~6月30日です。
法人の方は、原則として、前事業年度の最初の6ヶ月間となります。
前事業年度に設立したり、決算期変更を行ったような場合には、別途確認が必要です。
<給与等支払額とは>
給与や賞与、役員報酬など所得税の課税対象になるものをいいます。
所得税が非課税の通勤手当や旅費等、そして未払のものは含まれません。
つまり、特定期間における課税売上高か給与等支払額のどちらかが1,000万円を超えていると、
基準期間の課税売上高が1,000万円以下であっても、消費税を納めることになるんです。
会社を設立するときに注意しよう
設立1期目と2期目には、基準期間がないため、原則として消費税の納税義務はありません。
ただし、このルールは資本金が1,000万円以上の法人には適用されないんです。
3期目になれば、原則通り基準期間の課税売上高で納税義務の判定を行いますが、
これから会社を立ち上げようという方は、資本金を決める際の参考にしてください。
届出も忘れずに
消費税の納税義務者になることが分かったら「消費税課税事業者届出書」、
免税事業者になることが分かったら「消費税の納税義務者でなくなった旨の届出書」を税務署に提出しましょう。
それぞれ期限は「なるべく早く」ですが、問い合わせが来たりしますので、忘れずに出しておきましょう。
(注)この記事は、作成時点での法令等に基づいております。実際の適用にあたっては、事前に関係省庁・専門家等への確認をお願いいたします。