本が読めるなら決算書も読めるはず
決算書が読めない…というのは、数字の組み合わせかたを知らないからかもしれません。
数字は、単語。
単語を組み合わせて文にするのが、決算書を読むコツです。
どちらも伝えるためのもの
本は「文字」で、決算書は「数字」で、それぞれ書かれています。
どちらも、なにかを伝えるためのもの。
本が伝えるのは、おもに情報や物語・考えかたです。
これは、つぎのように決算書もおなじです。
- 情報……事業の財務状況
- 物語……どんな経緯をたどってきて、その数字になったのか
- 考えかた……どんな経営判断をして、その数字になったのか
こうしたことは、「文字」で読むほうが簡単かもしれません。
でも、それは文字を読む訓練をしてきたからではないでしょうか…?
おそらく、どんなひとも、つぎのような過程で「本」にたどりついたはずです。
- まずは「あいうえお」
- イヌやリンゴなどの「単語」を知る
- 生活の場面や学校で「文」を習う
- その文がひろがって「本」にたどりつく
数字でも、上のような過程をたどってきたか…?
「あいうえお」にあたるのは「0~9の数字」なので、問題ないでしょう。
それから「単語」にあたるのは、0~9の組み合わせです。
決算書には、パッと見「単語」だけしか書かれていません。
- 売上 1,000万円
これだけでは、イヌ・リンゴ…と読んでいるのとおなじです。
単語が意味をもってくるには、すくなくとも「文」に変換する必要があります。
- 売上 1,000万円……前回よりも100万円ふえている
すこし、興味がふえるのではないでしょうか。
もちろん、文も1つだけではなく、複数あると、さらなる意味がくわわります。
- 利益 100万円……前回よりも50万円へっている
上の2つの文を読めば、「売上はふえたのに、なぜ利益はへるのか…?」と知りたくなるのではないでしょうか。
もしかしたら…
- あたらしいスタッフが増えたのかも
- ムダづかいがあったのかも
- パソコンなどの入れ替えをしたのかも
- 税金の計算が間違っているかも
- なにかしら揉め事があったのかも
- 病気で休んでいたのかも
- 引っ越しをしたのかも などなど
こうした情報や物語・考えかたが書かれているのが、決算書なのです。
ちなみに、簿記の勉強では、おもに単語のつくりかたを習います。
つくるだけで、大変ですからね…
じぶんで経理をするなら必須ですが、簿記がわかっても決算書は読めない…ことは、あり得ます。
というのも、決算書を読むとは、単語の組み合わせができる…ということだからです。
つまり、文をつくれるか…と。
「決算書をみても分からない…」という声は、よく聞きます。
おそらく、それは決算書をみても何らかの感想がでてこない…ということではないでしょうか。
そんなときは、事業の原点である「お金」にかえりましょう。
どうやったら増やせるか、どうやったら必要なぶんを確保できるか。
こうかんがえる途中の「なぜ」を解消していくことで、「なるほど」という場面がくるはずです。
その積み重ねで、決算書が読めるようになるとおもうのです。
どちらも読まなくてもよいもの
本も決算書も、読まなきゃいけないもの…ではありません。
経営者として、決算書が読めないのはちょっと恥ずかしい…ということは、たまに聞きます。
でも、たとえば本を読むなら、そこには興味や関心・悩みごとなどがあるはずです。
まったく興味がない…
こんなときでも、学校の勉強のように、知らず知らずのうちに身につくことはあるかも。
でも、興味があると、読んだ後がかわります。
- 情報を手にいれれば、見えかたが変わるかもしれません
- 物語を読めば、夢や希望が変わるかもしれません
- ちがった考えかたをしれば、行動が変わるかもしれません
こうしたことを通じて、興味や関心が満足したり、悩みごとが解決するかもしれない。
そのため、つまり将来を変えるために読むのが、本や決算書なわけです。
決算書を読もうとするなら、まずは事業への興味や関心・悩みごとをかんがえてみましょう。
もし無いのなら、読んでも得られるものはないのかも…
(ただ、お金の悩みがないひとに会ったことはありません)
逆にあるなら、必須だとおもいましょう。
まとめ
本も決算書も、なにかを伝えるためにつくられるものです。
ただ、本にくらべ、決算書は読むのがむずかしいです。
というのも、いろんな箇所から数字をひろい、それを組み合わせることが必要だからです。
数字は、その組み合わせによって、はじめて意味をもってきます。
たしかにむずかしいことですが、事業をするなら決算書は必須のものです。
事業の目的でもあるお金が、数字であらわされるので。
そのお金のカギが、決算書です。
※ 記事作成時点の情報・法令に基づいています。
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