会計の勉強は何から始めるべきか

会計の勉強は、「儲かったお金がどこにあるのか」を調べることから始まります。

儲かったからといって、その分のお金があるとは限らないのです。

 

ちょっとした盲点

事業をしていれば、売上や利益が気になることもあると思います。

売上がなければ、とうぜん利益は出せません。

その利益が増えれば、お金も増える。

こんな関係にあります。

事業の目的にはお金を稼ぐことも含まれますが、それに直結する売上や利益は、やっぱり気になるはず。

 

もしかしたら、お金に困るようなことがなければ問題ない。

こんな考えかたもあるかもしれませんね。

お金に困っていなければ、それは事業が順調にいっている証。

売上や利益も、結局はお金となってあらわれますから。

 

そのお金は、口座残高をみれば、いくら持っているかはすぐに分かります。

その残高と、今後かかるであろう出費を照らし合わせて、いろいろ考えるかもしれませんね。

 

でも、「いくら持っているか」ではなく「いくら増えたのか」も、実は大事です。

これを知るには、その時点の残高だけではなく、期首の残高も知っておかなければなりません。

この「いくら増えたのか」と利益を照らし合わせたときに、「会計が分からない」という感想が生まれることが多い印象です。

 

というのも、お金の増減と利益は、ほぼかならず一致しないからです。

これが、会計の難しさ。

 

ときには、つぎのような感想を持つこともあるでしょう。

  • これだけしかお金がないのに、なんで黒字なの…?
  • 赤字なのにお金が余っているのは、なにかの間違いじゃ…?

ここまでじゃなくても、利益が自分の感覚とズレているような感じを持つことはないでしょうか。

 

お金の残高は、どうしても動かせない事実。

なので、利益のほうが間違っているんじゃないか。

このように疑うことが、会計が分からないということでもあるのです。

逆を言えば、これが分かれば、会計が分かるということ。

 

会計の勉強は何から始めるべきか

会計の勉強は、「儲かったお金はどこにあるのか」を調べることから始めましょう。

そのために、まず押さえるべきは「お金の増減」です。

 

そのお金は、使えなければ意味がないもの。

過去のことを考えてみても、むなしいだけのことかもしれません。

つかっちゃったものは、戻ってこないですから。

将来のことを考えるなら、取らぬ狸の皮算用になってしまうかもしれません。

つぎの大きな出費がみえているときは、気になりますけれどね。

 

結局は、「今いくら持っているか」しか意味をもたない…

こう考えるのが自然といえます。

 

でも、その持っているお金は、すべて自由につかってもよいものでしょうか…?

そのときに黒字と聞けば、ゴーサインがでるかもしれません。

いっぽう赤字と聞けば、なんとなくブレーキを踏むかもしれないですね。

 

でも、ことはそう単純ではなかったりします。

商品がある。

車や機械などを買っている。

借入れをしている。

会社の経費を立て替えている。

人を雇っている。

前払いや後払いのものがある。

こうしたことのせいで、お金の増減と利益は一致しないのです。

 

すると、「いま自由につかえるお金はいくらか」を考えるとき、利益はあてになりません。

あてになるのは、「なぜお金の増減と利益は一致しないのか…の原因」です。

原因が分かれば、見えてくるものがあるので。

 

その原因は、貸借対照表にあらわれます。

ただ、これは原因を探るための手段です。

出発点は、お金の増減と利益のズレ。

これが気になることが、会計の勉強の出発点なのです。

 

簿記の勉強は?

簿記を勉強することも、ひとつの方法です。

日商簿記3級なら、1~2か月くらいで一通り目を通せますし。

 

ただ、その知識の半分くらいは、ふだん出てこないもの。

すこし回り道のような感じがするのは、否めません。

と同時に、「読んだことはある」くらいはあって欲しいな…とも思ったりしますけれどね。

 

簿記の延長線上に、キャッシュフロー計算書というものもあります。

これは、利益とお金のズレが分かるようになっている書類です。

上場企業なら、かならず作っているもの。

 

ただ、これは会計の初心者にはハードルが高いものです。

あるていど簿記の知識も必要ですし。

くわえて、過去のことしか分かりません。

将来どうなるか…を考えるときは、むしろ資金繰り表のほうが分かりやすいです。

 

その資金繰り表は、お金の動きだけを集計したもの。

利益との兼ね合いを考えるには、微妙かもしれません。

とはいえ、経営には必須のものですけれどね。

 

結局のところ、お金の増減と利益のズレは、貸借対照表にあらわれます。

これを読み解くことがゴールだと思いましょう。

 

会計の勉強は、「儲かったお金はどこにあるのか」から始まります。

その疑問を持つには、お金の増減と利益を照らし合わせる必要がある。

まずはここから始めてみましょう。

 

(参考記事)会社の利益がどこへいったのか調べる方法

 

※ 記事作成時点の情報・法令に基づいています。