役員報酬はいくらがよいか

「役員報酬でトクするためには、どうしたらよいの?」という思ったことはないでしょうか。

 

その役員報酬ですが、基本的に会社の持ち主である株主が決めます。

 

同族会社の場合、株主が役員というケースが多いので、

自分の報酬を自分で決めることになる訳です。

 

ここに難しさがあるのかなと思いますが、

役員のモチベーションにも直結するところですので、

役員報酬の金額を決めるにあたり考慮すべき点をみていきましょう。

 

会社の利益の状況

役員報酬も会社の経費ですので、

高くすれば会社の利益は減り、少なくすれば会社の利益は増えます。

 

融資を受けたい

決算書を取引先に見せなくてはいけない

設備投資や将来のために会社にお金を残しておきたい…など

という理由で黒字を確保したいということはないでしょうか?

 

このような場合は、

年間の計画を見積もり、役員報酬に回せる上限を知る必要があります。

 

赤字でも構わないよ、という場合もあるかもしれませんが、

資金繰りの面で問題はないか、という点は押さえておく必要があります。

 

役員のプライベートの状況

役員報酬の金額によるモチベーションへの影響はもちろんありますが、

住宅ローン・子供の学費・将来受け取る年金の希望額などにより、

最低限のラインを押さえておく必要があるかもしれません。

 

税務上の縛り

法人税法では、役員報酬が次の3点に照らして不相当に高い場合、

相当な金額を超える部分を税務上は経費として認めない、というルールがあります。

1.職務の内容

2.会社の収益・社員の給与

3.同じ業種・規模の他社の役員報酬

 

「不相当」も「相当」もすごく曖昧な表現ですが、

世間の相場と違うときは、それなりの理由が必要です、ということです。

 

「そもそも世間の相場が分からないよ」という声も多く、

相場を知るための資料などが簡単に手に入らない実態もあります。

 

国税庁が発表している民間給与実態統計調査というものがあり、

その調査は罰則付きの義務によるものなので、一度は見てみるのも良いかもしれません。

 

会社と個人の税金をトータルで考える

同族会社においては、

会社がピンチの時は役員が自腹を切って会社を支えるということもあるため、

会社の財布も役員の財布も同じだよ、という感覚が多少なりとも残ってしまうのも分かります。

 

そこで会社の税金と役員個人の税金を合わせて考え、

両者の合計が一番少なくなるためにはどうしたらよいか、という視点もあります。

 

まず会社の税金ですが、

利益の多寡や会社の規模により税率が変動し、

簡単にまとめられる内容ではないのですが、

利益の3割前後と押さえてみましょう。

(少しでもトクをしたい方は年間の予測をすることをおススメします。)

 

一方個人の税金ですが、

年収に応じて下記の表のようになります。

(細かい注書きが表の下にたくさんありますので、念のためご一読ください)

 

役員報酬の金額に応じて会社負担の社会保険料も変動しますが、

収入が高くなるとそれなりの金額になってきますので、

この点も計算に織り込むようにご留意ください。

 

これまで読んで頂いた内容を前提に、

年間の予測をし、

納得できる役員報酬の金額を計算してみる。

 

少し複雑な計算と思われるかもしれませんが、

節税に繋がりますので、ぜひ考えてみてください。

 

 

(注1)個人の税金は1月~12月で計算しますが、会社の税金は年度ごとに計算するため、年収=会社の経費とはなりません。

(注2)社会保険は健康保険と厚生年金であり、東京都に在住の40才~64才の方が協会けんぽに加入したと仮定しています。

(注3)税金の計算上、考慮しているのは表に記載の社会保険料と基礎控除のみです。

(注4)住民税は東京都に在住として計算しています。

(注5)「%」は、税金や社会保険が「年収」の〇〇%ということを表しています。

(注6)上記の表は2022年(令和4年)6月に調べたものですが、今後の税制改正等に応じて内容を適時変更していく予定ではありませんので、実際の適用にあたっては必ず最新の法律等をご確認ください。