消費税の仕訳(期中・決算時・納付又は還付時)

消費税の仕訳を、普段からはじまり、中間納付・決算時・納付または還付時と時系列で確認していきましょう。

その背景もすこし踏まえつつ。

 

税込み経理

税込み経理をしているときの、消費税の仕訳を確認していきましょう。

 

普段

たとえば、現金で消耗品費「8,800円」を払ったときは、次のとおりです。

消耗品費(税率10%)8,800円現金8,800円

 

そして摘要欄には、「相手先・内容」の入力も必須です。

くわえて、受けとった領収書が「インボイスかどうか」の情報も。

インボイスかどうかにより、消費税の納付額の計算が変わりますから。

 

ちなみに、1回の取引が税込み1万円未満のときは、基準期間(2年度前)の課税売上が1億円以下などの条件を満たすなら、インボイスの保存は不要…という「少額特例」を受けられます。

これにあたるときは、「インボイスあり」と入力しておくのがよいでしょう。

この少額特例は、令和11年(2029年)9月までですので、いずれは使えなくなることも忘れずに。

 

中間納付

前期の消費税が48万円を超えると、中間納付をしなければなりません。

これは、つぎの確定申告の前払いです。

とうぜん、前払いした分、つぎの申告時にはらう消費税は少なくなります。

 

その中間納付の仕訳は、次のとおりです。

租税公課×××円現金など×××円

 

なお、消費税は、国の消費税・地方消費税の2つから成っています。

申告書には、これらを別々に記載するため、内訳が分かるものを残しておきましょう。

合計額から2つに選り分けるのは、けっこう難しいことですので。

 

ちなみに、「租税公課」の代わりに「仮払金や仮払税金」をつかってもよいです。

この違いは、つぎの決算時の仕訳にて確認しましょう。

 

決算時

その年度の消費税は、「どの年度の経費になるか」という問題があります。

税込み経理をしているときは、つぎの2つの選択肢があるのです。

  • その年度
  • 申告書を提出した年度(翌年度)

 

おススメするのは、「その年度」の経費にすることです。

(じつは国税庁は、翌年度を原則としているんですけれどね)

というのも、消費税は、その年度の売上や経費などにもとづいて計算されるので。

すると、損益計算書には、その年度のものがすべて盛り込まれます。

とりあえずの経費も増えますしね。トータルでみれば変わらないとはいえ。

もし、翌年度の経費にするなら、損益計算書の情報は、過去・現在のものが入り乱れることになりますし。

 

というわけで、その年度の経費にするときの仕訳は、次のとおりです。

租税公課×××円未払消費税等×××円

 

なお、中間納付を「仮払金」などとしているときは、次のとおり。

租税公課×××円仮払金など×××円
  未払消費税等×××円

 

仮払金をつかう・つかわないの違いは、「1年度分の消費税がひとめで分かるかどうか」。

税金は、どうしても「その時に払った金額」の印象が残ります。

でも、中間納付があるときは、「1年度分はいくらだったか」を忘れがちです。

これを知っておくのって、けっこう大事なことだと思います。

 

ただし、翌年度の経費にするときは、仮払金が貸借対照表に残ってしまいます。

わずらわしかったり、後で忘れるのが心配なら、つかわないほうが安全です。

ということを踏まえて、中間納付の仕訳をかんがえてみましょう。

それにより、決算時の仕訳も。

 

なお、消費税は還付になることもあります。

その年度で収入とするなら、次のとおりです。

未収入金×××円雑収入×××円

 

中間納付を仮払金などとしているときは、次のとおり。

未収入金×××円仮払金など×××円
  雑収入×××円

 

または、次のように。

未収入金×××円仮払金など×××円
租税公課×××円  

 

うえのどちらになるかは、仮払金などの金額・還付の金額から割りだしましょう。

仕訳は、かならず左右の合計額が同じになる…という前提から。

 

納付または還付のとき

これは、実際に消費税をはらう、または還付される「翌年度」のお話です。

もし、翌年度からみて前期に、経費や収入にしているなら、次のとおりです。

未払消費税等×××円現金または預金×××円

 

還付のときは、次のように。

預金×××円未収入金×××円
  雑収入(注)×××円

 

(注)還付加算金(利息のようなもの)があるときは、この雑収入も忘れずに。

 

なお、前期に経費や収入にしていないなら、前期の仕訳にある未払消費税等や未収入金を、現金や預金におきかえればよいです。

 

税抜き経理

税抜き経理をしているときの、消費税の仕訳を確認していきましょう。

 

普段

たとえば、現金で消耗品費「8,800円」を払ったとき、ほとんどの会計ソフトでは、次のように入力します。

消耗品費(税率10%)8,800円現金8,800円

 

そして、うえの仕訳が、ソフト内部で次のように変換されます。

消耗品費8,000円現金8,800円
仮払消費税等800円  

 

手書きのときは、下のように仕訳をしましょう。

そして摘要欄には、「相手先・内容」の入力も必須です。

くわえて、受けとった領収書が「インボイスかどうか」の情報も。

インボイスかどうかにより、消費税の納付額の計算が変わりますから。

 

ちなみに、1回の取引が税込み1万円未満のときは、基準期間(2年度前)の課税売上が1億円以下などの条件を満たすなら、インボイスの保存は不要…という「少額特例」を受けられます。

これにあたるときは、「インボイスあり」と入力しておくのがよいでしょう。

この少額特例は、令和11年(2029年)9月までですので、いずれは使えなくなることも忘れずに。

 

中間納付

前期の消費税が48万円を超えると、中間納付をしなければなりません。

これは、つぎの確定申告の前払いです。

とうぜん、前払いした分、つぎの申告時にはらう消費税は少なくなります。

 

その中間納付の仕訳は、次のとおりです。

仮払金(注)×××円現金など×××円

 

(注)仮払金の代わりに、仮払税金や仮払消費税等をつかってもよいです。

ただし、仮払消費税等はすごく量がおおくなり、後で確認するときが大変です。

(避けたほうがよいかも)

 

なお、消費税は、国の消費税・地方消費税の2つから成っています。

申告書には、これらを別々に記載するため、内訳が分かるものを残しておきましょう。

合計額から2つに選り分けるのは、けっこう難しいことですので。

 

決算時

税抜き経理では、その年度の消費税の仕訳は、その年度でおこないます。

けっこうな金額になる仮受消費税等や仮払消費税等を残したまま、翌年度になってしまう…

すると、翌年度の処理がおそろしく大変になるので。

 

というわけで、決算時の仕訳は、次のとおりです。

仮受消費税等×××円仮払消費税等×××円
  未払消費税等×××円
  雑収入×××円

 

または、次のように。

仮受消費税等×××円仮払消費税等×××円
  未払消費税等×××円
雑損失×××円  

 

雑収入と雑損失のどちらになるかは、その他のところの差額で割りだしましょう。

この差額は、消費税の計算過程において、端数切捨てがあることなどが原因で生じるものです。

通常はすくない金額ですが、簡易課税をつかっているときは大きめの金額になることもあります。

場合によっては生じないこともあるので、そのときは雑収入も雑損失も使わないことになります。

 

また、うえの仕訳をした後で、仮受消費税等・仮払消費税等ともに、残高がゼロになっているか。

この確認を忘れずに。

もし残高が残っていれば、なにか間違いがあるわけですので。

 

なお、中間納付があるときは、次のとおり。

仮受消費税等×××円仮払消費税等×××円
  仮払金など×××円
  未払消費税等×××円
(雑損失)(×××円)(雑収入)(×××円)

 

(注)雑損失と雑収入は、どちらか片方のみ。

 

そして、還付になるときは、次のとおりです。

仮払金などを入れてあるので、中間納付がないときは削ってくださいね。

仮受消費税等×××円仮払消費税等×××円
  仮払金など×××円
未収入金×××円  
(雑損失)(×××円)(雑収入)(×××円)

 

(注)雑損失と雑収入は、どちらか片方のみ。

 

納付または還付のとき

納付するときの仕訳は、次のとおりです。

未払消費税等×××円現金または預金×××円

 

還付のときは、次のように。

預金×××円未収入金×××円
  雑収入(注)×××円

 

(注)還付加算金(利息のようなもの)があるときは、この雑収入も忘れずに。

 

まとめ

消費税の仕訳を、普段から中間納付・決算時・納付または還付時の流れでみてきました。

消費税は、仕訳よりも、インボイスかどうかの確認・入手・保存が大変です。

いま少額特例をおつかいのかたは、「いずれはすべてのインボイスが必要になる」。

このことに向けて準備をしておきましょう。

 

※ 記事作成時点の情報・法令に基づいています。