会社の数字を理解するのに欠かせない5つの要素
会社の数字は、資産・負債・純資産・収益・費用の5つの要素から成り立っています。
いっぽうお金は、入ってくる・出ていくの2つだけ。
この違いを知っているかどうかが、数字が分かる・分からないの境目です。
5つの要素
決算書や試算表といった会社の数字は、複式簿記によりつくられています。
その複式簿記は、つぎの5つの要素から成り立っています。
- 資産、負債、純資産、収益、費用
会社の数字を理解するためには、「5つの要素がある」ことを知ることが始めの一歩なのです。
とくにお金が動くとき。
- 入ってくれば売上
- 出ていけば経費
- その差額が利益
必ずしも、このようになるとは限りません。
そこで「なぜ…?」とつまづいてしまうことが多かったりもします。
となると、会社の数字は分からないまま。
まずは、5つの要素について押さえましょう。
その5つの要素は、次のように表示されることが一般的です。
じつはこれ、試算表そのものです。
簡単にそれぞれを紹介するなら…
資産とは、いわゆる財産のこと。
ふだん生活の場面でもつかう「財産」とほぼ同じです。
まずはお金、現金や預金があり、商品や貸付金、建物や車などが代表的なもの。
それから負債とは、マイナスの財産といえます。
借入金や買掛金、未払金などが代表的なもの。
そして、資産と負債の差を、純資産といいます。
これは、実質的な財産といえます。
たとえば、ローンを組んで住宅や車を買ったとき。
住宅や車が資産で、ローンは負債。
その差額が純資産…といった感じになります。
(ちなみに、利益は純資産にふくまれます)
最後に、収益と費用。
収益には売上もふくまれ、費用には経費もふくまれる。
この2つの差額が、利益なのです。
ちなみに、決算書にふくまれる貸借対照表と損益計算書は、うえの試算表からつくられます。
その試算表を、もう一度。
これを、貸借対照表と損益計算書、それぞれを構成する要素に切り分けます。
すると、次のように分離されます。
この成り立ちを知っておくと、あとで説明するお金と利益のズレにも納得がいくはずです。
5つの要素について、もう少し掘り下げておきましょう。
5つの要素について知っておくべきこと
会社の数字を理解するため、5つの要素について次のことも知っておきましょう。
- 要素が1つ動くと、かならず他で1つ以上の要素が動く
- お金と利益はなぜズレるのか
- どんな状態がよいのか
要素が1つ動くと、かならず他で1つ以上の要素が動く
会社の数字は、複式簿記でつくられます。
その「複式」が意味するのは、要素が1つ動けば、かならず他で1つ以上の要素が動くこと。
たとえば、現金で商品を売り上げたとき。
お金(資産)が増え、売上(収益)が増える…という風に。
でも、実際はもうすこし複雑です。
たとえばお金が増えるとき、他で動くものには、次のように5つも可能性があるので。
- 資産が減る……貸付金を返してもらった
- 負債が増える……借入れをした
- 純資産が増える……増資をした
- 収益が増える……売上が増えた
- 費用が減る……経費になるものを間違えておおく払ったが、返してもらった
なかには、普段あまり起こらないこともありますが、可能性としては5つあるのです。
5つの要素は、いつもついて回る。
これを知らないことが、次の問題の原因だったりもします。
お金と利益はなぜズレるのか
たとえば「100」の黒字のとき、お金も「100」増えるとは限りません。
うえで説明したように、お金が入ってきても、売上(収益)になるとは限らないからです。
黒字が「100」であっても、借入金の返済で「30」つかえば、「70」しか残りませんし。
お金をつかっても、経費(費用)になるとは限らないのです。
利益は、収益から費用をひいたもの。
いっぽうで、他に3つの要素(資産・負債・純資産)があります。
もし、お金と利益にズレがあるなら、その原因は他の3つの要素にあらわれるのです。
その3つの要素でつくられるものが、貸借対照表。
「お金が足りない気がする」
「赤字なのに、なんでこんなにお金があるんだろう」
こう感じてしまえば、お金をつかうにも不安を覚えるはずです。
その不安を解消できるのは、貸借対照表だということを知っておきましょう。
どんな状態がよいのか
事業の目的は、基本的にはお金を稼ぐこと。
まずは、収益と費用の関係です。
1年度など短期的には、お金と利益にはズレがでてきます。
でも、長い目でみれば、利益とお金の増減は、一致します。
なので、お金を増やしたければ、利益、つまり黒字にするのは必須のことなのです。
お金があるからと安心せず、収益と費用の関係は、いつも押さえておきましょう。
それから、資産と負債の関係も、チェックは欠かせません。
事業の生命線は、つねにお金ですから。
いま持っているお金、売掛金のようにこれから入ってくるであろうお金。(資産)
買掛金や借入金のように、これから出ていくであろうお金。(負債)
これらを比べれば、お金が足りなくなる可能性が目に見えてきます。
ここまでのことを、今おかれている状況や目指すところに照らしてかんがえてみる。
すると、どんな状態がよいのかにも答えがでるはずです。
自分の「こうであって欲しい」が基準ですから。
会社の数字は、5つの要素から成り立っています。
お金が動いたとき、他でどの要素が動くのか。
これが分かれば、「会社の数字はそんなに難しくない」ことに気がつくはずです。
そして大事なのは、それを活用すること。
「もし○○したら、会社の数字はどう変わるのか」
これが分かれば、頭の中で想像したこと、新しくやってみたいことなども、数字に置きかえられるようになります。
すると、物事がより具体的になります。
- もっと利益が必要なのは分かっている
- あと100万円の利益が、追加で必要だと判明した
どちらのほうが、行動しやすいでしょうか…?
会社の数字は、本来このように使うものなのです。
その始めの一歩が、5つの要素を押さえること。
定期的に会社の数字をみて、自分の行動がどう数字に反映されているかをチェックしてみましょう。
その繰り返しで、覚えていきますから。
まとめ
会社の数字は、5つの要素で成り立っていることについてみてきました。
お金は、入ってくる・出ていくの2つだけ。
要素は2つではなく、5つもあることを知るのが、数字の理解への始めの一歩です。
より早く理解するためには、より多く数字に触れる機会をもってみましょう。
※ 記事作成時点の情報・法令に基づいています。